シェークハンドラケットの様々なノウハウ
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合板・単板
ラケット全体で単板のラケットが占める割合は現代卓球においては以前に比べてごくわずかになっている。シェークハンドラケットに限れば昔から単板はほとんどなく、合板が主流である。その理由は時代の流れや、流行もあるかもしれないが、他の理由もいくつか考えられる。
まず単板ではカーボン、グラスファイバー等の繊維材料を使用できない。
また適度な反発力を得ようとすると、板厚を8~9㎜にしなければならず、この板厚に厚めのラバーを貼ると厚くなりすぎて、持ちにくくなるということがある。さらにヨーロッパではシェークハンドラケットは合板が普通なので、その影響がアジアにも及んだとも考えられる。現代卓球はオールラウンド化が進んでおり、攻守兼備の技術を習得するためにも、合板のほうがいろいろな特性を得られ、応用力があるといえるだろう。
打球感を決める要素
打球感は卓球ラケットの大きさに影響される。例えば小さめの卓球ラケット(攻撃用)はインパクト時のラケット振動が少ないため、手への振動伝達が少さいラケット(攻撃型・硬い材質)で振動の少ないタイプは前陣速攻型、同じような大きさでやや振動するタイプ(攻撃型・中硬度の材質)はオールラウンド型に向いている。大きめのラケット(守備型・柔らかい材質)で、振動が大きいタイプはカットマン、大きめのラケット(守備型・やや柔らかい材質)で、振動があまり大きくないタイプはカット+攻撃型といえる。攻撃型には前陣、中陣、後陣オールラウンド型など様々な戦型があるが、それぞれに適した大きさというものは特にない。これに比べ、中後陣で広い範囲を守備しなければならないカット型用のラケットは、大きめになっている。
次にラケットの重さと打球感の関係について。重さは材質と厚さでいろいろ変わってくる。同じ材質ならば厚いほどよく弾み、重さも重いほうがよく弾む。また、手に伝わってくる打球感も、厚くて重たければあまり手に響かないし、逆に薄ければしっかり手に響く打球感が得られる。
また重たいラケットは相手の打球におされにくいのでブロックがやりやすく、ラケットの反発力で打球しているような感じが得られ、スマッシュがしやすいという特徴がある。
一方軽いラケットは、ラケットの反発力を利用するというよりも、自分の力で打球するタイプに適しており、スイングの速さで強い打球を出したり、コンパクトなスイングでのカウンタードライブや、台上プレーがやりやすくなったりという特徴がある。
木目の組み合わせと木の種類
3枚、5枚、7枚、9枚などいろいろな合板枚数を設定し、硬度(硬さ)の違う木を組み合わせて、弾性、硬さ、重量がそれぞれの戦型に適するように作ることが可能。またそれらの板の接着剤を工夫したり、接着層にさまざまな繊維材料を使用したりすることによりいろいろな特性を持ち合わせたラケットを作ることが出来る。
木には柔らかい、重い軽い等の性質や、産地の違いによる特徴がある。その特徴を利用して戦型に合わせたラケットを作ることができる。
合板ラケットでは、このような数多くの材質の中から、どの木とどの木を組み合わせるか、合板枚数を何枚にするのか、木目の方向はどうするのか、など様々な工夫が可能で、ラケットづくりのノウハウが非常に大切になる。
ラケットにもルールがある
ラケットには様々な工夫が可能だが、規定もちゃんと存在している。
- ラケットの大きさ、形状、重量は任意とする。ただし本体(ブレード)は平坦で硬くなければならない。
- 本体の厚さは少なくとも85%は天然の木でなければならない。
- 本体の接着層は、炭素繊維、ガラス繊維、あるいは圧縮紙のような繊維素材によって補強することができる。ただしその厚さの7.5%または0.35㎜(いずれか小さい方)以下でなければならない。
- JTTAAの刻印及び商標、または指定業者名の略称とJTTAAの連続刻印がなければならない。
- ラケット本体の大きさ、形状あるいはグリップの部分を加工することは差し支えないが、ラケット本体の打球面の平坦性が損なわれないようにしなければならない。
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卓球用語集
・シェークハンドラケット
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