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日本屈指のカットマン村松雄斗の卓球技術解説-Vol.5両ハンド攻撃-

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日本屈指のカットマン、村松雄斗選手による卓球技術解説を全5回に渡って公開。 第5回目の今回は、『両ハンド攻撃編』を紹介。

前回の『カウンター編』でも解説したが、現代卓球のカットマンはカットだけでなく攻撃の技術も必要不可欠で、数多くいるカットマンの中でも村松選手は特に攻撃力の高い選手だ。 今回は村松選手ならではの視点や練習方法を踏まえて解説していく。

カットをしていて攻撃に切り替える瞬間、実際にどんなことを意識しているのかポイントを聞いてみた。
「カットしてそのあと後ろにいすぎない。相手がツッツキ(もしくはストップ)の構えをしたら前に入って(準備をして)後ろから前に行くんで力が出すぎちゃって歩幅が合わない時がある。そういう時にオーバー(ミス)しやすいのでそこをうまく調整する。
前に行く時と打球するときが一緒になってしまうとどうしてもパワーが出すぎちゃってオーバーミスしてしまう。前に入るんですけど一瞬だけ先に足をついてその後打つようなそんなイメージでやっています。」
カット中はどうしても台から距離をとっているため、攻撃へと転じる際は歩幅を調整しながら前へ移動することを意識しているようだ。

村松選手の場合は、フォアハンドだけでなくバックハンドでも攻撃していく場面が多い。
「(バックでも攻撃する理由は)フォアよりバックの方が得点源になる。
カット前のボールとか自分で工夫しないと難しいんですけど、(特にそのカットのボールが)高かったら実際の試合ではツッツかれないんで、できるだけツッツいてもらえるようなカットで返球できるように心がけてます。
実際に毎回正確にやるのは難しいと思うんですけど、できるだけツッツキをしてくれるようなイメージで。カットで返球しています。」
これは両ハンドどちらの攻撃にも通ずることだが、カットマンが攻撃する手前、相手が先に攻撃してこないようツッツキで返球してもらえるように返球することがポイントだ。
村松選手も話しているように、毎回正確なカットをするのは難しいが、なるべくツッツキで返球してもらえるよう心掛けてカットをしよう。

攻撃マンの場合、攻撃した後を想定した『戻り』を意識することが多いと思うがカットマンの場合はどうだろうか?
「戻りを重視してしまうとどうしても繋ぎになってしまって相手も怖くないんでブロックされてカットに戻ってしまうから、これで決めるというイメージで本当に全体重を持っていくような感じ。
中には繋ぐ時もあるんですけど、一撃がないと相手も待てる。だからその一撃で決めるようなイメージ。」
『戻り』を意識するよりは『撃ち抜く』ということを意識して、そのボールで決める勢いで打つのが村松選手のポイントだ。

ではこれらの実践的なポイントを踏まえたうえで、実際に村松選手が行っている練習方法を紹介しよう。

両ハンド攻撃の多球練習

  1. フォア側にドライブのボールを送ってもらいカットで返球
  2. ①のボールをツッツキでフォア側に返球してもらいフォアハンドで攻撃
  3. バック側にドライブのボールを送ってもらいカットで返球
  4. ③のボールをツッツキでフォア側に返球してもらいバックハンドで攻撃

以後①~④を繰り返す。
①~④の繰り返しに慣れてきたらランダムに混ぜて練習してみよう。

「(この練習のポイントは)基礎的な練習なのでカットしてその場にいないで相手のボールは速いボールなんですけどすぐに前に行くような、打ちながら前に行くようなイメージでやっています。」

ランダムに混ぜてオールに練習するときのポイントは
「オールなのでどっちに来るかわからないのでしっかり準備して、カットを入れてすぐ前に出て(相手に)次はオールでツッツいてもらうので(どこに来るか)決まっていないので自分の予想が外れることがあると思うんですけど、僕は反転して(裏ラバーで)打つときに例えばバックで待っててフォアに来たときとか表(で打つこと)になるんですけど、突っついたりとか、軽く表で打ったりとか逆に自分が思ってたボールが来たときは一撃で決めるような(イメージで)」

カットからの両ハンド攻撃の多球練習応用編

※右利きの練習相手を想定

  1. 相手にオールにカット打ちをしてもらい、すべてカットで相手のバックへ返球
  2. ランダムなタイミングでオールでつっついてもらう
  3. ツッツキに対してフォアもしくはバックで攻撃

以後①~③を繰り返す

『この練習はより試合に近いので、いつツッツいて、ツッツかれてもいいように毎回カットしてちょっと前にいくようなイメージ。相手がツッツキをするような、そぶりだったら前に入って同時じゃなくて先に足をついて腕を振るようなイメージでやってます。最初は多球練習である程度やって、この練習は応用でより試合に近い練習として取り組んでほしいです。』

全5回に渡って村松選手の技術解説を紹介したが、トップで活躍する村松選手ならではの視点や試合での技術の使い方を参考に自分のプレースタイルに合わせた技術、そして自分の強みを磨いてほしい。

村松雄斗選手プロフィール

試合をしている村松雄斗選手
所属
東京アート
生年月日
1996年10月14日
戦型
右シェーク守備型
使用用具
ラケット:KOJI MATSUSHITA OFFENSHIVE(松下浩二オフェンシブ)
バックラバー:スペクトル