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丹羽孝希「責任感がある」 日本チームのために挑む東京五輪

更新日
インタビューに答える丹羽孝希選手

東京五輪代表が決まった丹羽孝希に今の心境を聞くと「チームのため」という言葉が真っ先に出た。

「五輪代表は責任感がある。また違う緊張感があります。」

2009年に14歳6カ月で世界卓球選手権に当時史上最年少で日本代表デビュー。「天才卓球少年」として注目された丹羽は17歳でロンドン五輪代表に初選出、21歳のリオでは団体銀メダル獲得の立役者となった。そして25歳で迎えた2020年、3大会連続となる五輪代表権を得た。

過酷な五輪代表レースから解放され、その余韻に浸っているのかと思いきや、丹羽にはそんな時間すら許されない。

「今は、チームランキングでドイツを抜かすことだけを考えてやってます。今は自分の為じゃない、チームランクの為ですね。自分だけの為だったら試合に出ないで練習していますね。」

丹羽は日の丸を背負う覚悟を決め、次を見据えている。

順調なスタートから一転、苦悩の五輪選考レース

丹羽はこの1年間、世界ランキングで日本人上位2人に入るべく世界中を転戦した。4月のアジアカップでは張本智和選手を下し3位入賞、続く世界選手権でも2大会連続で日本人最高位のベスト8に入り順調なスタートを切った。

「世界卓球前は試合がなくて1ヶ月みっちり練習できる。まとまった練習時間を取って、その大会に向けて仕上げていく。そういう時の僕は強い。」

しかし、ここから丹羽に困難が待ち受ける。世界選手権後も5月の中国オープンを皮切りに香港、札幌、韓国、豪州、マレーシアそして欧州と毎週のように世界各地を飛び回った。過酷な連戦の中、6月のジャパンオープンからは初戦を突破できない悪夢のような日々が続いた。

9月には片道40時間をかけ、南米パラグアイでの試合に自費でエントリーするもまさかの1回戦敗退。気づけば7大会連続で初戦負けを喫していた。「なんでパラグアイまで自費参加して行ってんの…」と現実から目を背けたくなった。

それでも丹羽は自分のペースを崩さず、チャレンジャーであり続けた。

「焦って練習量を上げたところであんまり意味はない。いつも通りすること。勝つときと負けるときは運があるので。」追い込まれても尚、自分と向き合い、自分らしさを追求できるのが丹羽の真の強さだ。

そうするうちに卓球も復調し、風向きが丹羽に向く。11月のオーストリアオープンでは、世界卓球銀メダリストのファルク選手(スウェーデン)を下すなど丹羽本来のキレと閃きのあるプレーを取り戻しつつあった。

「オーストリアが終わって家でゆっくりしようと思った時に電話が来て、『T2出場が決まったから次の日出発』と。これで僕の立場が変わって、出るだけで逆転となった。そこからはもう一度頑張ろうとなりました。」

ここからの丹羽は勝負強かった。繰り上げ出場となった11月末のT2ダイヤモンドと12月の男子W杯での勝利で、土壇場で丹羽が世界ランクにおいて日本人2番手に躍り出て、自身3度目の五輪代表入りを掴んだのだ。

やっとチームメイトを応援できる

「やっとチームや他の日本選手も応援できるようになったので、これからは試合が楽しみです」と表情を緩ませて打ち明けた。

五輪代表入りをかけた世界ランキング争いが中心となった2019年は「他の選手の応援ができなかった。みんなライバル。代表争いは自分一人だけで戦ってる感じ」と孤独との戦いだった。

しかし、現在の日本男子チームの目標は、チームランキングで2位のドイツを抜かし、東京五輪団体戦で決勝まで中国と対戦しない第2シードを獲得することだ。自然とチームを意識した戦いになっていく。

「チームランキングを上げるために試合が続くので、一つ一つの大会でベストを尽くすことしか自分も考えてない。ドイツを抜かすことだけを考えてやってます。(ドイツOPで)水谷さんが林昀儒(リンユンジュ)に勝ったりそういうのも応援できました。チームランクのためにお互い頑張ろうとなるので、そういう意味では楽しくなってきました。」

東京、そして4年後のパリへ

17歳でロンドン五輪に出場し、団体ベスト8とメダルを逃す悔しさを味わった。21歳で臨んだリオ五輪では、シングルスベスト8入りを果たし、卓球日本男子初の団体銀メダル獲得に貢献した。日本男子卓球界の歴史を作ってきたサウスポーが自国開催の東京五輪を25歳で迎える。

熾烈を極めた代表争いを終え、技術、体力、知力、経験、そして運を兼ね備えた丹羽はどのような姿を東京で見せてくれるのだろうか。

昨年秋頃のどん底時には引退を考えるほど弱気になる時期もあったが、いまや「4年後のパリ五輪も目指す」と力強く語るまでになった。

そんな丹羽のプレーは、木材7枚合板のラケット『KOKI NIWA WOOD(丹羽孝希ウッド)』と硬くて回転のかかるラバー『V>15 Extra(エキストラ)』から生み出される。

『KOKI NIWA WOOD(丹羽孝希ウッド)』の印象については
「前陣プレーや速さのあるプレーが多い自分のスタイルに最適なラケット。
木材7枚合板の独特の打球感がとても気に入っています。特に前陣でのプレーや速さのあるカウンタープレーが多い自分のスタイルには、木材で特殊素材ほど弾まず自分の力でボールをコントロールし威力のあるカウンターやドライブができるこのラケットが最適だと感じています。」と語っている。

『V>15 Extra(エキストラ)』の印象については
「ぼくは前陣でのプレーを大事にしています。その中でもカウンターが武器です。相手の威力に負けないためにもラバーには硬さが必要です。『V>15』は硬くて回転がかかります。フルスイングで打つことができれば、驚くような威力のボールを打つことができます。」と語っている。
丹羽本人が語るように、『KOKI NIWA WOOD』と『V>15 Extra』が丹羽のプレーを支えている。

丹羽孝希はVICTASとともに“チャレンジャー”として卓球人生を懸けて今夏のビッグゲームに挑む。

写真:伊藤圭
取材協力:ラリーズ編集部

丹羽孝希選手プロフィール
試合をしている丹羽孝希選手
所属
スヴェンソン
生年月日
1994年10月10日
戦型
左シェーク攻撃型
使用用具
ラケット:KOKI NIWA WOOD(丹羽孝希ウッド)
フォアラバー:V>15Extra(エキストラ)
バックラバー:V>15Extra(エキストラ)