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INTRODUCTIONーLiam Pitchfordー【リアム ピッチフォード選手・インタビュー】

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腕を組むリアム ピッチフォード選手

VICTASではリアム・ピッチフォード(イングランド代表、世界ランク15位)とのアドバイザリー契約締結を記念して、インタビューを実施した。

現在25歳のピッチフォードは、昨年5月の世界卓球選手権(団体戦)で日本の水谷隼選手、張本智和選手に勝利。8月のブルガリアオープンではリオ五輪金メダリストの馬龍選手(中国)を破るなど欧州トップクラスの実力を誇る。

そんなピッチフォードが、東京五輪を翌年に控えたこのタイミングでの契約の理由や、今後の目標を真剣に語ってくれた。

また、本インタビューには、ピッチフォードから日本で卓球を頑張る全ての卓球プレーヤーに向けたメッセージも含まれる。「おすすめの練習メニュー」や「用具選びのポイント」「試合前のルーティン」といったピッチフォードからの実践的なアドバイスを是非参考にしてほしい。

VICTASとの契約。その決断の理由とは?

――VICTASファミリーの一員となった今のお気持ちをお聞かせください。

リアム・ピッチフォード(以下「ピッチフォード」):一緒に活動できることがとても嬉しいですし、とても楽しみです。この契約は僕のキャリアのターニングポイントになると思うし、更に前に進むためのきっかけにできればと思います。

僕のキャリアにとって、今回の契約はとても重要な決断でした。兒玉さん(VICTAS代表取締役社長)やピーター(フランツ VICTAS欧州法人責任者)とミーティングを重ね、あらゆることを話し合いました。VICTASが描くビジョンの実現のために僕が必要なこと、そして僕のアスリートとしてのキャリアをどのようにサポートしてくれるか、など。何度も話すうちに自然とVICTASのビジョンに共感していったし、そのプロジェクトの一員として前に進むのが楽しみになってきたんです。

卓球のプレーでもそうですが、変化を起こすのはいつだって簡単ではありません。でも僕はいつも直感を大事にして、自分が正しいと思うこと、ベストだと思うことに挑戦し続けることにしています。今回のVICTASとの契約も、今の自分にとってベストな決断ができたと思っています。


――VICTASの用具に対してはどのような印象をお持ちですか?

ピッチフォード:(VICTASアドバイザリースタッフの)丹羽選手や張禹珍選手が使っているのを知っていました。張禹珍選手とは付き合いが長く、少し話しを聞いたこともあります。VICTASが世界の頂点を狙うトップアスリートが使うに相応しい用具を提供していることがよくわかりましたし、今回の決断にあたって用具面での不安はありませんでした。

ピッチフォードが見据える2020とその先のキャリア

腕を組むリアム ピッチフォード選手

――今後の目標はどこに置いていますか?

ピッチフォード:まずは東京五輪の代表権を獲得したい。この一言に尽きます。
そのためには6月にミンスク(ベラルーシ)で行われるヨーロッパ競技大会でメダルを獲ることが重要です。ヨーロッパ選手にとっては、東京五輪の代表選考に関わる一番大きなトーナメントです。また、昨年の世界選手権団体でメダルを逃し、悔しい思いをしたので、チームとして再び団結するいいチャンスだとも捉えています。

今は東京五輪に関しては、メダルが欲しいとかは安易に口に出来ません。ただ純粋にあの舞台に立っていたい。そして最高の準備をして、いいプレーが出来れば、僕ならどんな選手でも倒せると信じています。


――その先の長期的な目標についても教えてください。

ピッチフォード:オリンピックのチャンピオンになること。これが僕のキャリアのゴールです。世界ランキングよりも特定の中国選手を倒すことよりも、高く尊い目標だと思います。

ピッチフォードが認める世界のライバルとは?

――今後具体的に倒したい選手、ライバルはいますか?

ピッチフォード:日本選手だと張本選手、丹羽選手、水谷選手のトップ3を常に倒したいと思っています。運良く過去に勝てたことはあるけれど、彼らの方がより成績が安定しているし、どんな大会でも準決勝、決勝に行ける力を持っている。プレッシャーのかかる大きな舞台でもコンスタントに勝てるようにしたいですね。

ヨーロッパの選手では、同世代で強い選手たちが沢山いて、15歳の頃からずっと戦ってきている。フランスのゴジ選手やドイツのフランチスカ選手らがライバルです。

中国選手については、誰もが倒したいと思って挑むけど、なかなか勝てない大きな壁。昨年は馬龍選手に勝つことができて大きな自信になったし、本当に特別な経験だった。次はずっと相性の悪い許昕(シュシン)選手を倒したいですね。

オススメ練習メニューと用具の選び方

――このインタビューは世界の卓球プレイヤーに向けて発信されます。世界中の強くなりたいプレーヤーに向けて、おすすめの練習メニューを紹介いただけますか?

ピッチフォード:実戦を意識したフットワーク練習ですね。一番多くやるのは、フォア前をバックでフリックした後、バック対バック。その後、バック対全面というメニューです。

フットワーク練習を表した図

バックフリックの後のバック側への戻り、ランダムになった後も戻りを意識することが重要です。

――用具については、どのように選んでいますか?

ピッチフォード:一番大事なのはフィーリングです。打球したときの感覚や直感。これに勝るものはありません。ラバーの厚さや重さ、ラケットの木材の種類や硬さなどを指定する選手も多いですが、僕の場合はその必要性はあまり感じません。重すぎないか、軽すぎないか、打った感覚が良いかを大事にし、あとは自分のプレーに集中するという考え方です。

ルーティン習慣で自然体で試合に臨む

笑顔のリアム ピッチフォード選手

――メンタル面についてはどのような工夫をされていますか?

ピッチフォード:卓球においてメンタルは勝負を大きく左右する重要な要素です。僕もしばらくメンタルコーチに指導してもらっていましたが、最終的に自分をゾーン状態に導く特別なルーティンを編み出しました。

大事なのはそのルーティンを試合前だけでなく、普段の練習の前にも行うことです。そうすることで試合を「特別な場所」ではなく、「普段と同じ場所」「自然体でいられる日常」と感じられるようになります。

もっと若い頃はよく試合中に集中力が切れてしまうこともあったけど、このルーティンを日々行う習慣により、常に試合に集中し、ゾーン状態に持っていけるようになりました。


――その特別なルーティンについて、具体的に教えていただけますか?

ピッチフォード:とても単純ですよ。まず誰もいない場所に移動する。そしてヘッドフォンをつけて特別な曲を聞きながらウォーミングアップをする。これだけです。ただ、アップをしながらニコニコしてハッピーな気分に自分をもっていくことが大事です。そうすると幸せな気持ちで台に向かうことができるんです。


――強さの秘訣はこのルーティンに隠されていたのですね!最後に、卓球を強くなりたい全てのプレーヤーに向けたメッセージをお願いします。

ピッチフォード:強くなるための特別な方法や近道はありません。沢山練習やトレーニングをして、目の前の課題を一つ一つ乗り越えていくしかない。

特に自分の長所を伸ばすことが一番重要です。例えば僕の長所はバックハンドです。バックハンドが好きで沢山練習しました。とにかく試合で使えるよう実践形式の練習を多く取り入れました。

試合を想定して、自分の長所を組み込んだ練習を沢山してください。全ての技術の安定感を高めることももちろん大事なのですが、強いレベルの選手に勝ちたければ、得意技術に特化した練習をして、自分だけの強みで勝負することが大事です。


――貴重なお話をありがとうございました。

ピッチフォード:ありがとうございました。応援よろしくお願いします。


【写真:伊藤圭】

リアム・ピッチフォード選手使用用具