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江加良氏の世界卓球(卓球世界選手権)2019 ④振り返り・総評編

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江加良氏の世界卓球(卓球世界選手権)2019 ④振り返り・総評編

全4回に渡り元世界チャンピオンの江加良氏に2019年世界卓球ブダペスト大会の観戦所感を語っていただいた。最終回、第4回目の今回は『振り返り・総評編』。


VICTASジャーナルをご覧のみなさん、こんにちは!
江加良です。前回に引き続き2019世界卓球選手権ブダペスト大会の観戦所感をお話しいたします。
今回は『2019年世界卓球選手権大会ブダペスト大会の全体の振り返りと総評』についてお話ししたいと思います。

卓球と健康について

卓球の変化は常に絶えず努力され進んでおり、最初はラジオ放送から新聞に始まり、白黒テレビからカラーテレビ、データテレビ、ついにはインターネットで視聴者を惹きつけるようになりました。いつどこでも卓球を観戦して楽しむことができます。また、卓球は老人になっても認知症にかかりにくいなど、健康を促進できるスポーツです。私は個人的には目の健康を高めることができると思います。現代生活は一日中パソコン、テレビを使っていて、更に怖いのはスマートフォンであり、とても目を傷つけています。だから私は誰もが卓球を学んでほしいと願っています。
私も卓球用具の変化を経験してきましたが、卓球台とネット以外はすべて変わりました。卓球を初めて習おうとする人は弾性の強いラバーとラケットを選ぶことをおすすめします。さらに重要なのは卓球専用のシューズを使うことで、多くの初心者は普通の運動靴を使い足首を捻挫します。私はボールを打つ前のウォーミングアップとプレー後のリラックスを非常に重視していています。なぜならスポーツは体の健康に有益なのであって、怪我をするためにするものではないからです。

ボールのルール改訂について

ボールは、38 mmから現在の40mmに変わり、素材がプラスチックに変わるなど、大きく変化してきました。今回の世界選手権用のボールは従来のものと比べ若干重くなりました。ボールが重くなることで、ネットやイレギュラーボールが多くなり、技術要素が少なくなりました。身体能力の要求が高まってきているので、選手が若ければ若いほど良くなり、ベテランの選手には不公平だと思います。私は芸術的な選手のプレーを見るのが好きで、力だけで、スピードで打つ選手を見るのが好きではありません。

2019年世界卓球選手権大会を振り返って

今回の第55回世界選手権の最後の品評ですが、これ以上優勝者と準優勝者の勝ち負けについて多くの議論はしたくありません。それは以前にたくさんお話しましたので、今回の世界卓球をこれまでの7回のオリンピックでテレビメディアの解説をした視点から評価してみたいと思います。私は92年のバルセロナオリンピックにテレビコメンテーターを始めました。テレビ局は香港TVBです。広東語を用いていました。香港のTVBはテレビ中継のコメンテーターの言葉遣い、手振り、司会者との協力、データの数字の正確な評法など、すべて厳格な規則があって、これはテレビで試合を見ている視聴者に対する責任であり、また宣伝でもありました。

リオオリンピックで印象に残った試合と今大会の女子ダブルス決勝の誤審について

VICTAS JOURNAL 国際大会 世界卓球2019 ブダペスト大会 卓球 ダブルス

リオデジャネイロオリンピックで私の印象に残っている2つの試合があります。1つはベラルーシのサムソノフ対ドイツのオフチャロフの試合中、サムソノフが腰を痛め約20分の休憩の後、最後は逆転で勝利した試合です。もう一つは日本の石川佳純対北朝鮮のキム・ソンイの試合で、石川は途中で足を負傷しましたが休憩を取ることは認められず、試合を続けましたが、最終的には逆転負けを喫してしまいました。これは人為的な不公平な試合です。
今大会で私が申し上げたい重要なことは、伊藤早田ペアの女子ダブルス決勝戦、第5ゲームの9-9の場面でサーブがレットの判定を受けた件です。このボールは非常に議論をしなければいけないと思います。ここで私はITTFに対してビデオ判定制度を設けて、不公平な人為的要素を避けることを提案したいと思います。同時にテレビ中継の時間を無駄にしないためにも、ネットにかかったサーブはそのままラリーを進行しても良いと思います。サーブがネットにかかったらやり直しというルールも変えていいのではないかと思います。皆さんご存知の通り卓球は老若男女問わず楽しむことができ、健康を促進できるスポーツです。価値の高い市場があるにも関わらずテニスやゴルフのように発展しないのはなぜでしょうか。
今後の展開を見守りたいと思います。ありがとうございました!


全4回に渡り、元世界チャンピオンの江加良氏に2019年世界卓球卓球選手権大会の所感を語っていただきました。
ご愛読いただきありがとうございました。