本文へ

平均年齢21歳の日本女子、準々決勝で「中国の壁」を破り、メダルをつかめ!

更新日
練習する長﨑・木原ペア

 長く日本女子チームを牽引し、前回のヒューストン大会で女子シングルスベスト8の石川佳純(全農)が現役引退を表明。伊藤美誠(スターツ)、早田ひな(日本生命)、平野美宇(木下グループ)という「黄金世代」、さらに木原美悠と長﨑美柚の「Wみゆう」が加わり、パリ五輪への激しい代表選考レースの中で大会に臨む。

 5月16日発表の世界ランキングで、日本女子の最高位は伊藤の7位、次いで早田が8位。1位から6位までは中国勢が独占しており、6位の銭天一を除く5名がダーバン大会に出場する。1位の孫穎莎、2位の王曼昱、3位の陳夢、4位の王芸迪が第1〜4シードになる見込みで、中国選手が早いラウンドで敗れない限り、日本勢は中国選手を倒さなければメダルが獲れない。前回のヒューストン大会では、平野と石川が陳夢、早田と伊藤が王芸迪に敗れ、中国の壁を破ることはできなかったが、平野対陳夢戦はゲームオールの激戦、早田も王芸迪から2ゲームを奪って互角に打ち合っている。

 伊藤と早田は、上位に進出するには身体のコンディションをどこまで整えられるかがカギになりそうだ。5月12日に行われた日本代表の公開練習では、臀部(でんぶ)に痛みを抱える伊藤は練習を行わず。「現地入りしてから少しずつボールを打ち始めたい。落ち込んでいてもうまくいかないし。練習の中で今できることを見つけていきたい」と語った。

 一方の早田も、「とにかく今は故障しないことが大事」と語る。「1日練習しなくてもフィーリングはなくならないし、70%の状態でも出し切ることができて最後に勝てれば良い。100%を出せるのが一番だけど、できる最大限を出せるようにしたい」(早田)。伊藤は異質型ならではの多彩なテクニック、早田は安定性と威力を増したバックハンドで、連戦を戦い抜く構えだ。早田は伊藤とペアを組む女子ダブルスで2大会連続準優勝、張本とペアを組む混合ダブルスでも前回準優勝。女子シングルスだけでなく、両種目でも金メダルを狙う。

練習する早田選手
ハードな大会日程の中でも勝負強さを見せ、パリ五輪の選考ポイントランキングではトップを走る早田ひな
記者会見の様子
5月12日の日本代表選手の記者会見で、大会への抱負を述べる伊藤美誠

3月のシンガポールスマッシュで王芸迪を破り、中国のランキングトップ3(大会時)から勝ち星を挙げた平野は、17年大会以来のシングルスの表彰台を狙う。JOCエリートアカデミー時代に指導を受けた中澤鋭コーチとの師弟関係が、木下グループへの移籍に伴って復活。「ハリケーン・ヒラノ」の進撃をベンチから強力にサポートする。

 そして今大会、世界選手権の個人戦にデビューするのが木原美悠だ。前回のヒューストン大会時の世界ランキングは50位台だったが、5月16日発表のランキングは18位。トップ20に入り、堂々と日本代表に名を連ねた。
 ハードな大会スケジュールが続く中、「最近、卓球が楽しくないなと感じたこともあった」と木原は語る。しかし、練習から卓球を楽しむという「美悠スタイル」を改めて見つめ直し、調子は上向きになりつつある。3月のTリーグプレーオフファイナルで、ビクトリーマッチで伊藤美誠のサービスを読み切り、勝利をつかんだ勝負度胸は折り紙付き。19年ITTFワールドツアー・グランドファイナルで、孫穎莎/王曼昱(中国)を破って優勝した長﨑美柚とのダブルスでも有力なメダル候補だ。

笑顔で練習する長﨑・木原ペア
日本代表の公開練習で笑顔を見せる木原(右)/長﨑ペア。名コンビが完全復活すれば、中国ペアとも十分に勝負できるだろう

世界に目を向ければ、中国と日本が優勝戦線を形成する中で、22歳のA.ディアス(プエルトリコ)や右手首の手術を乗り越えた18歳の申裕斌(韓国)などが若手の有望株。一方で、鉄壁のカットを誇る40歳のハン・イン(ドイツ)や、60歳を目前に世界選手権に臨むレジェンド・倪夏蓮(ルクセンブルク)など、ベテランの妙技にも注目が集まる。

世界女王の王選手
世界女王の王曼昱。宿命のライバル、孫穎莎と決勝での再戦はあるか
ドイツのハン選手
世界ランキング10位のハン・イン、豊富な経験で中国勢の前に立ちはだかる