卓球の神様は、彼女の時計を止めてしまったのか。59歳の倪夏蓮、女子シングルス初戦で快勝
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女子シングルス1回戦、今大会最年長の59歳、倪夏蓮(ルクセンブルク)が登場。ハルトブリッヒ(ハンガリー)をストレートで下し、2回戦進出を決めた。
前回のヒューストン大会では、1回戦で当時17歳のロウレンティ(イタリア)との「40歳差対決」を制した倪夏蓮。今回対戦したハルトブリッヒとも36歳の年の差があったが、そのプレーはアグレッシブだった。
長身でリーチが長く、一発の両ハンドドライブに威力のあるハルトブリッヒに対し、「守備だけでは不利になる」と積極的にフォアハンドで仕掛ける倪夏蓮。しかもフォア面の粒高とバック面の表ソフトを反転させ、球質に変化をつける。ハルトブリッヒは中盤から倪夏蓮の攻撃をしのぎ切れず、粒高ショートに対する強引な強打のミスが続くなど、完全にペースを握られた。
以前に比べると、さすがにやや守備範囲が狭くなった感のある倪夏蓮。しかし、前陣を死守して高い予測能力でラリーを支配し、意表を突かれたボールにも自然に体が動くのは、中国代表時代に徹底的に積んだ基礎練習の賜物か。
彼女のプレーを見ていると、とても還暦を目前にした選手のプレーには見えない。卓球の神様は、彼女の時計を止めてしまったまま、動かすのを忘れてしまったのだろうか。「レジェンド」という常套句すら、彼女の前では色褪せてしまう。
混合ダブルスではバック面にアンチスピンラバーを貼るムラデノビッチ(ルクセンブルク)とペアを組み、前回ベスト8のグナナセカラン/バトラ(インド)をあと一歩まで追い詰めた。
女子シングルス2回戦の対戦相手は、シャン・シャオナ(ドイツ)とオルテガ(チリ)の勝者。40歳の右ペン表攻守型、シャン・シャオナとのペンホルダー対決が実現すれば興味深い。
女子シングルス1回戦
倪夏蓮(ルクセンブルク) 8、4、6、6 ハルトブリッヒ(ハンガリー)
混合ダブルス1回戦
グナナセカラン/バトラ(インド) −9、8、−14、7、6 ムラデノビッチ/倪夏蓮(ルクセンブルク)